木舟縁起

崎田峰彦氏記

木舟の起源と由来 その①

縁起とは、本来仏語であるが、社寺などの由来、または霊験などの伝説のことをさして言う。一般には多くの因縁がより集まって現象が生起することから、「縁起がいい」「縁起が悪い」「縁起をかつぐ」などと表現するように、吉凶の前兆を表現する場合の「吉」―良いこと、幸運の意味を強く持った言葉として使われている。これがもとになって事物の起源・沿革・由来の意味を示すことでも多く使われている。

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木舟という地名は、京都市左京区鞍馬貴船町にある貴布禰総本宮(以下貴船神社という)の由来とされている。承安2(1172)年、京都鞍馬村の糸岡刑部が、この貴船神社の分霊を奉じ、当地を開拓したのが福岡町木舟の始まりとされている。この貴船神社は、「古くは()(樹木)()()(根)、黄船(きぶね)、貴船、木船」などの起源からとある。中でもこの「黄船」は、―神武天皇の皇母、玉依姫が、豊かな土を護り、国土を潤す、その水源を求め「黄船」に乗って淀川、鴨川を渉り、貴船川上流の、現在の京都の貴船神社に水神を奉祭した―と神社の記録にある。現在でも京の貴船神社に、玉依姫が乗った「黄船であると言われる―石(自然石)―」に、しめ縄を付けて厳かに祭られている。爾来、貴船神社は水神さまとして信仰を深め、祈雨の儀―雨の降るのを祈る儀式、黒馬(祈雨)白馬(晴雨)を献上する催事―が行われている。これが各地に見られる、絵馬の奉納の始まりと言われている。

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